夢をかなえる「打ち出の小槌」

夢をかなえる「打ち出の小槌」

夢をかなえる「打ち出の小槌」

概要

言わずと知れたホリエモンの著書.口語調で書かれており,また文字も大きく余白も適切であるのでさらっと読める.目次も各項目の主題と論旨が並べられているので,はじめに・目次・おわりにを読めばだいたいわかる.


生きていく上で最も大切なものは信用という名の「打ち出の小槌」である.成功体験の積み重ね・コミュニケーション能力・自己投資が信用を築く.常識を疑い,ショートカットを探せ.お金は自己投資に使い(時間・情報・娯楽),レバレッジのためにも適度な借金をせよ.

小さくまとまっていても意味がない.切磋琢磨しながらやりたいことに全力で挑戦すべきである.

と述べている.

内容

第1章 夢をかなえる「打ち出の小槌」とは?

自分自身をバランスシートで考えた時,「信用」は資産の部の「無形固形資産」にあたる.信用は価値(お金)を無限に生みだすことのできる「打ち出の小槌」である.


これに対し,貯蓄することは純資産の部を成長させることである.価値はその額面でありそれ以上でも以下でもない.


自信が信用を生む.そのためにハッタリをかましてでも無謀なプロジェクトにも積極的に手を出すべきである.成功すれば自信になり,信用を勝ち取ることができる.

  • 「自分なりの成功体験をもとにした自信」
  • 「ハッタリという名のコミュニケーション能力」
  • 「積極的な投資」

これらの相互作用によりどんどん信用が作られていく.お金は信用を数値化したものである.


第2章 ゼロになることを怖がらず,挑戦しよう

将来の不安に駆られて貯金をする事・保険をかけることは馬鹿げている.不安に基づく行動は状況を悪化させる.お金がなくなったらどうするのか?借りればよい.まともに生きてきてその程度のお金を借りる信用すらないほうがどうかしている.


所詮100万円程度など,持っていないに等しいのである.持たざる者が何を失うことを恐れるのか.

何も持っていないのは,つまりは何をされても対応することが可能だから,実は強い.こういうのを,「最強フラグが立っている」と言っている.


目標は達成できないと思うぐらい大きいほうがいい.手始めに先駆者を目標にするとモチベーションが維持できる.そして,ハッタリをかまして能力以上の仕事を引き受ける.これにより信用のスパイラルを手に入れる.ハッタリをかませるだけの営業力は必要だし,プライドなんて捨てるべきだ.


粘り強くコツコツ続けても意味のないことが多い.「損切り」をするべきである.スパッとあきらめて新しいことに手を出したほうが成功率が高くなる.また,失敗を忘れるぐらいの鈍感力があったほうがよい.

失敗を繰り返すのは気分の問題であり,だったら忘れるしかないのだ.

世の中は諸行無常で,安定状態を保つほうが難しい.ピンチの状況を普通だと思えるだけの精神力がほしい.

第3章 夢を邪魔する常識の殻を破れ

ショートカットを目指すべきだ.コツコツやることに意味はない.また謙虚であることは信用を構築する上で障害である.コツコツ教も謙虚であることも,農業時代には必要であった.しかし,すでに世の中の仕事の大半は必要のない仕事である.行列に並ばず,頭を使ってショートカットすべきだ.


常識を疑うことが必要である.コツコツお金をためることを推奨する教育,年功序列・終身雇用を信じて疑わない親の助言,平等,資格,そんな常識を打ち破った先にイノベーションがある.


第4章 適度な借金でさらなるショートカットを

借金を正しく認識するべきだ.マイホームは負債である.ローンにお金を払うぐらいなら自己投資したほうがよい.お金を使って豊かな生活をしたほうが活力になる.また,やりたいことがあるなら正しく借金したほうがよい.適度な借金は自分自身へのレバレッジとなる.


情報を得ることは未来を知ることである.チャンスの差は情報の差でもある.効率よく時間を使って情報のインプットに努めるべきだ.そのために無駄な通勤時間や,家事の時間,服選びの時間はなくしたい.ただし,睡眠は重要.また,情報を得るためには東京に住むべきだ.人から知識をしゃぶりつくすのもよい.


感想

本来,やりたいことを見つけることは,それほど難しいことではないはずだと私は思う.極端な話をすれば,やりたいことが見つからないというのは,やれないと単純に思い込んでいるだけだ.

なるほど,という感じである.たしかに,何もかもに自信がなくなると,すべてのことができないような気がする.気がするのではなく,実際にできなくなっていると思う.コンフォートゾーンにいないとIQが下がる,という話*1と同じではないだろうか.

本書で言われている通り,何か新しいバイトに従事してみるべきなのだろうが,どうにも一歩も踏み出せない.どうすればよいのか.

結局,ほとんどの人が,生きていくために必要のない仕事をしているのだ.仕事は娯楽であり,趣味であり,エンターテインメントなのだ.

こう思えば将来を考えるのも少しは楽になる.所詮その程度の仕事なんだから,仕事のために(会社のために)人生を棒に振ったり,家族を犠牲にするのは馬鹿げている.


起業するのであれ,会社に勤めるのであれ,その仕事をやりたいと思ってやれるのが一番だ.そしてより高みを目指し,切磋琢磨する.もちろん頭を使ってショートカットを探す.そういうのがよさそうである.お金のために働くのではなく,信用のために働く.「金持ちはお金のためには働かない」*2

*1:苫米地英人,テレビは見てはいけない,PHP新書

*2:ロバート・キヨサキシャロン・レクター,金持ち父さん貧乏父さん,筑摩書房