弁護士の論理的な会話術
- 作者: 谷原誠
- 出版社/メーカー: あさ出版
- 発売日: 2010/06/22
- メディア: 新書
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他著者情報
「みらい総合法律事務所」パートナー弁護士.明治大学法学部卒.
概要
日常的にありそうな会話例を交えながら,どのように正しい方向に議論を持っていくかが記述されている.
<一貫性の原理>
一度表明した態度はどんな証拠が示されても容易には変えられない.したがって,相手に態度を表明させて有利に議論をすすめることができる.
<質問の重要性>
質問は思考を縛る.したがって,不当な質問は「質問の必要性→質問する権利の有無→あなたはどう考えるか?」という順番で対処.
<道具の覚え方>
- 昨日(帰納法)高知(公知の事実)で門前払い(門前払い)
- 原則(原則と例外)移動(異同論法)は3段(3段論法)整理(争点整理)棚
- そもそも(そもそも式論法)定義(言葉の定義)がされていない
<論理の落とし穴の覚え方>
- ジュン(循環論法)君個人(個人攻撃)は権威(権威の利用)がない
- 見えない(見えない多数派)グループ(誤ったグルーピング)に(誤った二分法)(二者択一誤導尋問)押しつけて(立証責任の不当な押しつけ)
- 事実(事実の信憑性),誤導(誤導尋問)・すり替え(論点のすり替え)は常套(常套句)手段
目次・ポイント
第1章 あなたに必要な”論理力”という武器
01 人間は非論理的思考にダマされる!?
02 人は誰もが論理的であろうとする
「一貫性の原理」
03 論理的でなければ相手を説得できない
04 論理で追いつめすぎてはいけない
05 論理が通用しない世界もある
「泣く子と地頭とは議論する必要がない」
06 議論の最終到達地点はどこか
第2章 論理的に考え,話すための”第一歩”
01 三段論法「A⇒B,B⇒C,ゆえにA⇒C」
事実を疑う
02 そもそも式論法「ルール→事実→結論」
「そもそも」→「ところで」→「だとするならば」
事実を疑う
03 原則と例外「基本は黒だが白の場合もある」
より柔軟な主張を展開
04 公知の事実「”なぜ?”と永遠に付き合う必要はない」
公知の事実は立証する必要がない
05 争点整理「何が問題なのかを整理しよう」
問題提起→結論→理由づけ→事例への当てはめ
06 門前払い「あなたに議論をする資格があるのか」
07 異同論法「そこれとこれとは違う」
同じ点・異なる点
08 言葉の定義「そもそも××をどう理解している?」
09 帰納法「信長も秀吉も家康も死んだ.だから人は死ぬ」
帰納法への反論方法「反証」→反証が事例として不適切であることを「異同論法」で証明
第3章 相手のペースに巻き込まれない会話術
01 相手の価値観に反論する
相手の主張に「なぜ?」と質問することで価値観が現れる.反対の価値観をぶつける.
02 相手の言葉のウラ取りをする
「証拠を疑い,人を疑わず」「行間を疑う」
03 他の事例に飛び火させる
論拠が議論の対象に対して広い場合
⇒問題ないとされるほかのものに適用,論理一貫していないと攻撃
飛び火させられた場合,不適切性を「異同論法」で証明
04 一つの言葉を別の価値観から捉える
別の価値観で定義しなおして反対の立場を取る.
05 反対意見に反論する
06 立証責任を相手に負担させる
立証責任:現状を変更する側
一般常識から見て一方の結論が推定できる場合,それに反対する側
第4章 論理の落とし穴を見破るテクニック
01 非論理的な論理に正しく反論せよ
02 誤導尋問「お支払いは現金ですか,それともカードになさいますか」
質問に答えようとしてしまう.質問の間違った前提を織り込んでしまう.
03 誤った二分法「人間は金持ちか貧乏かだ」
・言葉の定義は正確か
・選択肢が2個だけなのか
・性質上,あるいは時間の経過によって両立し得ないか
04 二者択一誤導尋問「私と仕事,どっちが大事?」
05 論点のすり替え「借金を返せ?信用できないのか!侮辱するな」
揚げ足取り(不当な要求をされたがごとく).
「何を感情的になっているんだ?」
「そのことは問題ではない」
→そもそも式論法
06 個人攻撃「だいたい,おまえが○○だからじゃないか!」
「私が偉いかどうかは関係ありません.さて・・・」
「ええ,楽しいですよ.それはそれとして・・・」
07 誤ったグルーピング「商売人には政治のことはわからない」
議論をする資格の有無を勝手に設定するのは間違い
08 循環論法「AはBである.なぜならばBはAだからだ」
異なる観点から切り込む→拠り所としている価値観が見える
09 事実の信憑性「××君が○○だって言ってたよ」
事実を疑ってかかる(そもそも式論法)
10 常套句「そんなのはナンセンスだ」
否定語の理由を明らかにするように求める
「偉いか偉くないかは問題じゃない.・・・」
「世間/本質というのはあなたの意見じゃないんですか?」
11 立証責任の不当な押しつけ「お前には責任がないんか!?」
反射話法で応戦.
12 権威の利用「私が言うんだから間違いない」
主張の根拠となる理由を明らかにさせる.
「課長のご経験を私は体験することができません.」
13 見えない多数派「他の人たちもやっている」
自分が処罰を受けるような行為をすることを認めた証拠
「君は自分が吸ったことを認めたわけだから,その公平な処罰の一環として謹慎処分となるのだ」
第5章 質問で会話の主導権を握る方法
01 会話で主導権を握るには
質問は,強制しているようには見えないのに,相手の思考を強制し,会話をコントロールすることができる強力な武器.
02 「仮に話法」で相手を金縛りにする
「仮に○○ならば・・・」で立場を表明させる→一貫性の原理で縛り付ける
03 順番を考えながら質問をする
「感情→理性」で立場を表明させる→一貫性の原理で縛り付ける
04 相手からの質問にどう対処するか
質問の必要性→質問する権利の有無→あなたはどう考えるか?