この国のかたち 四
- 作者: 司馬遼太郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1997/02/07
- メディア: 文庫
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (17件) を見る
概要
近代の武士の様子や,戦争に突入していく狂気を冷静に分析している.
内容
76 士
江戸時代の武士はさほど学問をしなかったという点では申維翰の言う通り「兵農工商」.しかし,士の気分を持つように教育されていた.「士は窮しても義を失はず」「士にして居を懐ふは,以て士と為すに足らず」
77 わだつみ
日本の海人の話.海部や安曇という苗字は「あま」から来た.漁業が商業化したのは秀吉の朝鮮の陣の頃.大阪湾の佐野の漁師を対馬に連れて行った.佃から佃島に写った.テグスは荷物を結ぶ透明な紐だった.
79 松
松は稲作とともに増えた.これはたい肥や燃料のための下草,落ち葉を山から綺麗に取ってくるため,土が痩せるためである.古来より松は人格化,神格化されてきた.
80 招魂
大村益次郎が作った招魂社の話.私死の武士たちを公死にすることで,新国家を公とした.
85 統帥権(四)
「軍人に賜はりたる勅諭」により,天皇の統帥権の歴史的根拠を述べた.これが明治憲法の「ただしわが国の慣習として統帥権というものがある」という但し書きにつながった.帷幄上奏という特権の下,軍は自由となった.首相浜口雄幸が殺されてから昭和は滅亡に向かって転がり始めた.
86 うるし
うるしの歴史.
87 白石の父
江戸初期の武士像.
90 長崎
唐通事の功績.西洋医学における長崎の功績.
91 船と想像力
江戸時代の船の規制,船の構造.黒船後,見よう見まねで作られた三隻の西洋式の船の話.
92 御坊主
坊主衆は自身が黒衣のような存在であることを示すために頭を剃った.坊主衆の文化の蓄積はかなりのものがあった.