「言霊の国」の掟
- 作者: 井沢元彦
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
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概要
日本人の気質「和をもって尊しとなす」を切り口に政治・行政・マスコミ・歴史問題を論じている.
政治は行政改革・有事法・少年法について,行政は住専問題・農業・空港について苦言を呈している.マスコミは産経新聞以外については迎合・捏造報道等と斬り捨てている.歴史問題では戦前と戦後に共通する官僚主義的問題点を挙げている.また南京大虐殺や従軍慰安婦問題も取り上げている.
内容
第1部 言霊の国の防衛論―日本人の「歪み,屈折した迎合」の処方箋
小渕政権は評価できない.小渕総理は平時には能力を発揮できるだろうが,行政改革にはむかない.
(第)三国人はGHQが作った言葉で,差別的意味はない.戦後,占領の怒りから日本人に対して違法行為が行われた.それを差別名称とし,石原都知事の発言を曲解するのはおかしい.
第2部 言霊がどんなに幸っても―だからこの国は危ない!
日本人は霊を重要視する.戦争で命を落とした人を怨霊としないため,すなわち犬死であったとはしないために英霊として祭る必要がある.
戦前も戦後も,政府が官僚をコントロールできないところに暴走の危険性がある.また,試験エリートは難しい問題を先延ばしする天才である.
言霊は縁起の悪いことは口にするなということである.しかし,有事立法のない日本に危機管理はできない.
オープンスカイは現代の黒船であるが,これを拒否すると当時の韓国と立場が逆転する.仁川空港にハブ機能を持っていかれる.
第3部 和をもって尊しとなす国がなぜ世界の孤児か
日本の「和」は内向きで,極端である.他国を徹底的に見下すか迎合するかのいずれかである.だからパートナーとして信頼されない.
議会で乱闘があるというのは民主主義のバロメータである.予定調和で終わる議会をもつのは独裁国家の特長である.指導者や党は絶対に正しく,それに反対するのは絶対悪となるからだ.
第4部 言挙げせぬ国の穢れを禊がせて頂きます
和とは結局「みんなで協調」することである.質問や異論を封じ「和気あいあい」というヌルマ湯に入ることだ.利害の対立があれば,それは「談合」で決めればいい.
第5部 万葉の伝統どこまでも?「言葉を飾る」新聞メディアの悪いクセ
言葉を飾る習慣は言霊という古代思想に基づく.