ゆるく考えよう
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2011/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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他著者情報
証券会社(バブル時代)→米国大学院→外資系企業
読書期間
2011/3/2〜一週間程度
概要
ちきりんの本.基本的にブログで書いてることそのまま.疲れたときに読むとよい.疲れてる時はだいたい将来のことを不安に感じて今を我慢していることが多いからである.
目次
1.ラクに生きる
2.「自分基準」で生きる
3.賢く自由に「お金」とつきあう
4.仕事をたしなみ,未来をつくる
5.ストレスフリーで楽しく過ごす
ポイント
1.日本人・日本の不幸の原因
- 悲観的な人の多くは期待値が大きすぎるから.目標を低く設定すると楽になれる.
「自分が生きているあいだに2位を経験できてラッキー!」
- 欧米:役員になるような人間は全く違う経歴<->日本:すべての人に同じだけチャンスがあるという思い込み⇒不幸の元.経営者にとっては必死で働いてくれるありがたい存在.
諦めていないと,人は頑張りますから.無駄なのに…….
- 人生全部を諦めて悲観的になるのではなく,進むべき道が現実的に選べるようになる.
- 忙しい休日でなければ充実していないというのは洗脳.下品.
- ニート問題で仕事・勉強・訓練にしか価値を認めないのは怖い.
退屈な時間が楽しめること,それでこそ「余暇の達人」
- なぜ多くの人がやっていることをあなたはやらないのか⇔なぜみんなと同じことをする必要が有るのか
- 「他の人がやっているから」ではなく「志す強い理由」があるから少数派となる
結婚している方へ:世の中の大半の人が結婚しない世の中でも,あなたは結婚しますか?
大学へ進学した方へ:世の中の大半の人が高卒で働く時代でも,あなたは進学しますか?
働いている人へ:世の中の大半の人が働いていない世の中でも,あなたは働きますか?
生きるということは,観客席から立ち上がり,舞台に立ち,自分で自分の人生のストーリーを決め,そのためにどう振る舞うか,自ら決めることなのです.
将来のために我慢して,準備して,危ない橋を避け,安全だとわかる道だけを選んでいたら,きっと「大失敗もないけど,飛び上がるほど嬉しいこともなかった」人生になってしまいます.
- ユニークバリュー=差別化要因
- 世界のビジネスの中心が西洋からアジアに移りつつある→日本には有利(文化面・時差面)
2.意思決定のタイミング,判断基準,ツール
- 「人生3×3分割図」縦軸:稼働時間率,横軸:年齢(20歳,40歳,60歳,80歳)
- 人生の時間の使い方は,「仕事」「趣味」「家庭」
- 三つとも選ぶのは大変なのでどれか一つを諦めるのが現実的
- 別の視点では「やらなくてはならないこと」「やりたいこと」「ヒマだからやっていること」
- 若い頃から「やりたいこと」中心に据えるべき.老後に精神バランスを崩す要因になる.
- 商品やサービスは1.人のライフサイクル・人生のあり方を変えるもの 2.個人の精神的満足度を向上させるもの の二種類
- 大半の商品はより自分の好みに近い商品として細分化
- 隠れたニーズを掘り起こす=ほしいような気持ちにさせられているだけ→自分のピュアなあ欲望を取り戻したい
- 通常の意思決定=総合評価方式⇒とりえのない選択肢が選ばれる
- 一点豪華主義による意思決定⇒選んだあとには必ず不満が現れる前提のもと,不満が出ても納得出来る選択肢を選ぶ.基準以外については最悪条件を仮定.
一点豪華主義は「価値観の多様性」「社会の多様性」につながるのです.
- 日本の組織や人はやめる判断が遅い.
- 組織: 欧米::変化させる人がリーダー 日本::できるだけ混乱を起こさない人がリーダー ∴リーダーが責務を果たしていない.
- 個人: 欧米::Exit戦略,合理的な終わり方 日本::やめることを問題視する道徳観=終わりに美しさを求める傾向,ひとつだけ残った選択肢を仕方なく選ぶ終わり方
しかし,日本には「たとえ適当にはじめたことでも,簡単にやめてはいけない」という道徳観があります.周囲もやたらと「即断すべきではない」というプレッシャーをかけます.やめることは「逃げ」とか「根性がない」といわれ,とてもくだらないことでも,続けることに,やめることより高い道徳的価値がおかれます.
どんなに事前に計画しても結果はやってみないとわかりません.これはビジネスも人生も同じです.「違っていた」とわかったら速やかにやめることです.人生の時間を無駄にする必要はありません.
- 社会が変わると変わること:アドバイスとして意味が無い(仕事選び,教育)
- 人間の本質的に変わらないこと:親の気持ち,大事な人を失ったときの気持ち
「人として,人との関わりにおいて,体験し,感じ,成長してこなければ,後輩に残せる言葉はひとつも得られない」
- 自分にとって大切なものほど強いこだわりにより正しく判断できない(巨人ファンに今年の優勝チームを聞く例)→遠くにある広い範囲にこだわりの対象を移す.
近い狭い範囲のことにこだわりを持ちすぎると,影響力が大きすぎて間違いが起こりやすくなるのです.しかもこだわりが強い人は熱心で頑固です.その力が小さなモノに向かうと,ものすごく大きく間違ってしまいます.
3.売り手の儲け方を知り,不要なものは買わない.
- 10年以上のローンが必要なものは買わない.35年ローンは経済成長期の理論.分相応に暮らすべき.
- 新築物件は販売価格の8割程度の価値
- 利子総額を意識することがローン時には重要
- 会社の団体保険→病欠中の所得補償制度がある場合も多い
- 定期保険は5年ごとに保険額を減額すべき
- 医療保険は貯蓄で対処
1.公的保険 2.最低限の貯金 3.ネット保険(立派な会社=ブランド物の保険→高給取りの社員)
万が一の時のために,万が九九九九の期間を犠牲にするのはやめましょう!
- 節約で必要なのは固定費の水準を下げること⇔経費削減ではなく事業の再構築⇔支出削減ではなく構造改革
- 固定費とは自分たちが苦労して手に入れたモノに自分たちが縛られている状態
- 学びたければ金を稼げ,好きなことは金を払ってやれ
- 3種類の儲け方 1.できるだけ返させない(利子) 2.できるだけ使わせない(切手,チケットのまとめ売り) 3.使っていないときにも払わせる(基本料金)
- 情報商材は欲カテゴリーを網羅「カネ,健康,色,出世・成功」
- 宗教は権力そのもの.社会が解決できない問題を宗教がカバー
- コスト比較で決めるモノは大事じゃないモノ⇔人生において一定以上の重要問題は「経済的理由は考慮するが,決め手にはしない」→不動産も非経済面の比較をすべき
- 不動産保有のメリット:リフォーム・経済的自由,住環境への投資,帰属コミュニティ確保
- 不動産保有のデメリット:移動困難,有形資産,買い間違いリスク,噂リスク
- 効果が少ないが楽な方を選んでいると自分で自分に主張(収入を増やさず節約,食事を減らさず運動でダイエット,エコカー・ゴミの分別でエコを主張)→正しい方法であると信じるために「思考停止」
- 昔:豊かになること⇔よりモノを所有すること=使用価値確保の一手段(不便,原始的,無駄が多い)
- 今:所有しない時代→「貧乏な家ほどモノが多い」
- 防災グッズ=お守り効果.本当に必要なのはお金で買えない物(体力・精神力・判断力・工夫する力・コミュニケーション力)
4.人生選択方法
- 就職氷河期に見られる時代の変わり目はチャンス.今は仕方なく選んだ道が将来大当たりする可能性.
(1)「雇ってもらう」ことを諦め,自営業で食べていこうと考える
(2)若者にしかできないこと(高齢者にはできないこと)を学ぼうとする
(3)経済成長を続ける中国やインドなど海外に行って働こうとする
でも最初から仕事が見つからなければ,組織に頼らず生きる道を必死で探さざるをえない人もでてきます.そのハングリー精神が時代の変わり目に思わぬ結果につながることもありえるのです.
- 逆バリ(人と違うこと)・先読み(ここぞと思う分野)をした人が金銭的に報われるのは当然.メーカー技術者は逆バリリスクを取っていないから給料が低いのは仕方ない.
- ゴールドカラー層=人生における移動距離が圧倒的に長い(B=50km,W=数百km,G=数千km),誰にも使われない(主体的に仕事を選び転職),自らの判断で仕事,成果のみで評価,自分の上司は自分→他人とは違う言動を褒め,突拍子も無いことも応援.他者と異なることを肯定的に評価する土壌
- ホワイトカラー層→いい大学を出ていい会社に入れるよう育てる,素直な良い子
- 成長の意味=成長して何が出来るようになりたいか.
- アウトプットにつながるインプットが重要.インプット作業が自己目的化した企業はアウト.転職で問われるのもアウトプット(学歴・資格はインプット).
- 生産性(=アウトプット/インプット)を上げる方法を思いつくにはインプットを制限(インプットが無制限にあると生産性向上を考えなくなる)(ブラジルと日本の農業比較の例).
働く時間を減らさない限り仕事が早くできるようにはなりません.
- 魅力的な人の周りに自然と人が集まる ∴人脈作りに労力をつぎ込むぐらいなら自分を磨け
- 有効なアドバイスをもらう 1.両方の選択肢を同列に並べる(匂う方向に答えを持っていく傾向) 2.大半の時間を自分を理解してもらうことに使う(自分と相談者の違いを理解してもらう) 3.質問しなかったが重要なことを教えてもらう(「他に何かありませんか?なんでもいいです」)
- なにもかもすごい人はそんなにいない.自分がどれで勝負できるか考える.理解力(CPU)・資料保持(HDD)・記憶力(RAM)・プレゼン能力(グラボ)・インプット早い(キーボード)・情報源(ネットワーク)・成長余力(拡張機能)・資格(アプリ)・タフ(バッテリー)・実家(ヘルプデスク)
5.見方を変える
- 食事が美味しいと感じられるのはレベルの高い幸せ.
- お酒と恋愛はみたくないものを自然と遮断してくれる.みっともないかもしれないが,みっともなくない人生なんてない.
- コミュニケーション成功率が低い人がいると割り切ればストレスはたまらない.
- 分を知れば生活に余裕が生まれる.局地的に頑張るライフスタイルはしんどい(ハイヒールの例)
- コミュニケーション能力=受け手のシステムを理解する能力
- 価格=自分にとって正当化できる価格or馬鹿げた価格.客観的に妥当な価格は存在しない.自分の財布で買えるものが妥当な価格.
- 運命と戦うか,運命を受け入れるかで変わるのは結果でなく経過.どちらが良いというものではなく,その人の生き方に依存する.
- 結婚制度=種の保存・宗教→自由なライフスタイルを受け入れ不透明な価格設定に疑問をもつ.
- 義務教育=様々な自己表現方法を学ぶ
- 外国に行くといかに自分がつまらない存在かわかる→精神が開放される
おわりに
- 自己保身欲,プライド,不安感が自分を縛りまっとうな人生の枠内を歩ませる.ここから自由になりたい.
- 「よかった確認」道に迷った→ダイエットできてよかった,飲み物こぼした→床が掃除できてよかった,旅行先が空いてた→混雑がなくて疲れなくてよかった,混んでいた→活気があってよかった,病気をした→健康のありがたさが分かってよかった,大混雑のイベントで財布を盗まれた→お金だけで済んでよかった,大事な仕事を寝過ごした→それだけ疲れてたんだから休めてよかった.
ひとことメモ
自分の為に生きれば良いし,自分の身の丈に合った暮らしをすれば良い.今を我慢して頑張れば高い社会的地位が得られるなどというのは幻想.たしかに成功者は一人残らず頑張っているが,果たして彼らが自身の欲求と反することを頑張っていたかというとそんなことはありえないだろう.また,今を楽しめない人間が,たとえ高い地位を手に入れられて(定年を迎えて)それで満足できるのか?という疑問もある.
将来に対する不安が我々を苛む.しかし,いくら考えても不安は払拭できない.高い地位を手に入れようが,多額の給料を得ようが不安はなくならない.しかし,今を幸せに生きることで将来への不安を薄めることはできる.
調査事項
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ローン年数 | 元本 | 利子総額 |
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35 | 3000 | 1174 |
20 | 3000 | 642 |
10 | 3000 | 312 |
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