脳は「歩いて」鍛えなさい

脳は「歩いて」鍛えなさい (WIDE SHINSHO)

脳は「歩いて」鍛えなさい (WIDE SHINSHO)

概要

大脳生理学を専門とする医師が書いた本.平易な文章で歩くことの効用を書いている.また,大脳生理学的な説明も一部あり説得力を増している.著者自身が歩くことが大好きであるという気持ちが文章全体からにじみ出ており,読んでいるだけで歩きたくなる.

内容

第1章 どんな時も”とりあえず”歩いてみよう

1.脳のストレスは,とりあえず歩いてとる
古い本能の脳である大脳辺縁系を司令塔の大脳新皮質が「人間として」抑え込む.義務・責任・モラル・向上心などを本気で考える.これがストレスとなる.歩くことでこのストレスを発散できる.歩くことでさまざまな「情報」が入ってくる.疲れた脳のマッサージになる.


2.自信を失ったら,とりあえず歩いてみよう
自信を失うのは大脳新皮質だ.頭の同じ部分で考え込んでも堂々めぐりするだけだ.歩くと本能が生き生きと活動し,司令塔も本能と上手く共働する.


3.病気がちなら,とりあえず歩いてみよう
免疫力は脳の働きと関係が深い.ストレスが自律神経系にダメージを与え,バランスが崩れることで免疫力が弱まる.さらにストレスによって胸腺や骨髄から供給されるリンパ球の活性が低下する.病弱な人はストレスに弱い体質であることが多い.そんな人は自然の香りをいっぱいに吸いながら歩くといい.いい匂いは視床下部に届き,これが胸腺などを刺激する.


4.天気がよかったら,とりあえず歩いてみよう
朝起きて天気がいいと気持ちがうきうきする,そんな感覚を大切にする.早朝は仕事をし,その後足の赴くままに歩いてすっきりした気分で帰ってくる.脳に快感を自然に記憶させる.気持ちがうつうつしたときに思い出すための練習である.


5.気持ちがうつうつとしたら,とりあえず歩いてみよう
歩くとセロトニンが増え,爽快感が増す.セロトニンは興奮や不快感を鎮める効果がある.打つ移しているときはセロトニンが欠乏している可能性がある.規則正しいリズムによる筋肉の動きを意識することでセロトニン神経系が活性化する.また,太陽光によっても活性化すると言われる.さらに,朝の時間帯はドーパミンも増えている.したがって朝歩くとよい.


6.くよくよ思い悩む日は,とりあえず歩いてみよう
くよくよ悩むことがあったら夫婦で散歩してみるのがよい.散歩中の会話は長くできないし,それでいて何となく話をした気になる.直接悩みを話す必要はない.


7.むしゃくしゃしたら,とりあえず歩いてみよう
むしゃくしゃしたら自分の脳を観察する.古い脳と新しい脳の葛藤はストレスとなる.しかし,歩き始めると「ノルアドレナリンが充満しているな」と冷静なもう一人の自分が現れる.起こることはエネルギーを使うので,歩き始めるとエネルギーが振り分けられむしゃくしゃが収まる.また,セロトニンノルアドレナリンを制御して精神を安定させる.


8.人間関係に思い悩んだら,とりあえず歩いてみよう
悩みを抱えている人は答えをちゃんと自分で知っている.黙って聞いているだけで自然に答えを見つけ出す.そのために歩く.歩くと意識があちこちに移り,悩んでいることの焦点が拡散する.つまり客観的になっている.また,歩くと集中していないようで集中している.体を動かしているから気持ちが前向きになる.できれば身近にいる人と一緒に歩くとよい.別に悩みを打ち明けなくてもいい.一人ではないと思えば悩みも軽くなる.


9.何もすることがなかったら,とりあえず歩いてみよう
歩くのは習慣で義務ではない.「楽しいから笑う,しかし笑っているうちに楽しくなる」のと同様に,「楽しいから歩く,そして歩いているうちに楽しくなる」.この良循環サイクルに乗るためにあきらめずに自分のペースで歩き続けることが重要.


10.疲れたら引き返せばいい
歩く時間・距離などの課題は課さないほうがいい.嫌になったら戻っていいし,疲れたらバスに乗ってもいい.違う場所を歩きたくなったら電車に乗っていってもいい.脳の言葉に耳を傾け,がんばらないようにする.決めた目標を達成しようとすることがストレスになる.あの辺まで歩こうという大まかな目安だけでいい.


第2章 なぜ歩く人は,みな若々しいのか

1.歩くことは,人間の快感なのだ
脳との対話を繰り返すことをただ意識して歩くだけで,体の健康と脳の健康が同時に保たれる.歩いているときのふっと感じるすがすがしさ,ジワッとわき上がる快感を大切にすることで脳からのストレートな信号を受け,自分の脳との対話ができる.


2.「歩くこと」と「ときめき」には共通点がある
歩くこともときめくことも脳の広い領域を使う.脳幹は「呼吸・脈動・睡眠etc」の生命維持,大脳辺縁系は「食欲・性欲・群れる欲」という動物の三大本能をつかさどる.大脳新皮質大脳辺縁系で起こる動物的な要求を複雑な感情に昇華させる.歩くことも恋することも,本能的な欲求を大脳新皮質がコントロールし,あこがれ・ときめき・想像性へ発展させる.


3.歩くだけで脳の全体が刺激される
大脳新皮質を統括しているのが前頭前野で,言語中枢の一部・運動をつかさどる感覚・視覚聴覚味覚などから情報が来る.若々しさとはこの大脳新皮質のネットワークが生き生きと機能していることである.歩くという複雑な挙動によりぼう大な情報がやり取りされ,脳を活性化する.


4.「物忘れ」が気になりだしたら歩き始めよう
脳の広い部分を使うという点では歩くほうが難しい数式を解くよりもはるかに頭を使う.脳のネットワークは使えば再生する.歩く刺激でネットワークを新たに配線できる.使われていない神経細胞は一生かかっても使いきれないほどある.歩くと物忘れしなくなるし,前向きに覚えなおそうという意欲もわく.


5.「やる気」が失せてきたら歩いてみよう
ドーパミンにより快感を覚え,やる気がわく.しかし,脳の活動が衰えるとドーパミンが分泌されにくくなり,感動しなくなる・興味が薄くなる.歩くことでドーパミンが分泌されやすい環境を作れる.さらに美しい風景・鳥の鳴き声・草花の匂いなどでドーパミンが分泌される.


6.「食欲」がないときは歩いてみるといい
空腹を感じるまで歩くのは大変だが,歩くことで脳細胞が刺激され食欲がわく効用がある.食欲は視床下部が司り,大脳辺縁系を通じて欲求としてわき上がる.前頭前野の活動により,おいしさなどを創造し,おいしいものを食べたいという欲求に加工する.空腹を満たすという本能だけで食べていると脳のネットワークが機能しなくなる.楽しく歩くことで脳が活発となり,生きる喜びがわく.おいしいものを食べて幸せになりたいという気持ちがわく.


7.歩くと「太りすぎ」にも効果がある
脳は快感原則で活動している.過去の快感は記憶として残っており,不快を克服すれば快感を感じられると知っていれば,あえて不快なことにも取り組める.歩くことが不快である人は健康のために歩きたくても歩けない,そうすると体重が増える,体重が増えると歩きにくくなるという悪循環に陥る.このサイクルを断ち切ることでしだいに脳が歩く快感を思い出し,良サイクルに転化できる.


8.歩くと「腰痛」にもよい
正しい姿勢で無理をせずに歩くと腰痛改善につながる.歩くと体重が減り,腰への負担が減る.また,脊髄を間接的に保護する腰の筋肉は歩くことで鍛えられ,骨盤のずれによる腰痛を防止できる.


9.「高血圧」の人も歩くとよい
高血圧(上140mmHg以上かつ下90mmHg以上)の人は脳が委縮しやすい傾向がある.脳に届く血流が減少するからだ.すなわち,酸素不足で委縮する.高血圧改善には食事療法と適度な運動が効果的だ.ゆっくり歩くことで酸素をたくさん取り入れることができる.


10.「たばこ」がやめられない人も歩くとよい
ニコチンは直接脳に作用し,ドーパミンを増やす作用がある.目が覚める・快感を感じるというのはニコチンがドーパミンを強制的に作り出させるからだ.この快感により依存症となる.また,喫煙が習慣になるとニコチンの刺激がなければドーパミンが作り出せなくなる.また,喫煙は血管を収縮させるため脳に酸素がいきわたらなくなる.歩くことで高血圧と同様の効果があると考えられる.味気なく感じるのであれば,それはニコチンに依存してしまっているのだ.


11.「若さ」を保つためには,脳に刺激を与え続けること
意識して歩くとは「毎日どうやったら歩く回数を増やせるか意識する」「漫然ではなく五感をフルに使って歩くことを楽しむことを意識する」の二点.頭を休めるとは脳が開館するようなことを言う.頭頂部左右には体性感覚野がある.25%が手足,50%が咀嚼から来る.これを刺激することで脳全体が活性化される.

若さとは年齢ではなく意欲のことだ.物忘れが怖いのではなく,忘れたら覚えなおそうという意欲を失うことのほうが怖い.


第3章 ”ながら”ウォークで脳を若返らせる

1.なぜ”ながら”ウォークが脳にいいのか
歩くことにほんの少しの付加価値をつける=”ながら”ウォーク.人間は視覚情報に頼っているが,大切なのは五感の情報を通じて入ってくる快感をどう脳に伝えるかである.


2.楽しく笑いながら歩く
笑いながら歩くと脳が活性化され,楽しくなる.笑っているときは大脳新皮質が活発に活動している.また,喜びの快感は大脳辺縁系から湧き上がるため,笑いは脳全体を活性化する.気のおけない友人たちと楽しく笑いながら歩くと良い.


3.音楽を聴きながら歩く
音楽を聞きながら歩くと,聴覚が奪われる分より視覚が敏感になる.脳をリラックスさせながら歩いているのだろう.また,天気の良い日に見晴らしの良い高台まで歩いて行って,好きな音楽を聞きながらコーヒーを飲む人もいる.そのことを考えながら歩いているとき,すでに脳は幸福感に包まれているだろう.


4.ハミングしながら歩いてみる
気分よく歩いているとふと歌を口ずさんでいることがある.これは脳がリラックスしている状態であり,そんな時は気の向くままに歌えばよい.脳がやりたがっていることを我慢しないのも,脳を老けさせない方法である.一緒に歩いている人がハミングを始めたらよほど心を許せる空気のような存在になっているということだ.楽しんでいると考えて間違いない.


5.俳句好きなら,吟行をしてみよう
吟行には歩く・観察する・考える・言葉に置き換える,すべての脳を老化させない要素が詰まっている.右脳で感動し,左脳で言葉に置き換える.そしてそれが感情に一致するか右脳が考える.情報のキャッチボールが盛んに行われる.まずはやってみることだ.歩きながら考えることは素晴らしい.


6.ときには自分と対話しながら歩く
一人で歩くのは充電,友達と歩くのは発散.一人で自然の中を歩くと言葉にならない快感で心が充たされる.そして無意識のうちに自分と対話して歩いている.何かを考えて森に入るのではなく,自然のリズムに合わせようとして余計なことを考えずに歩いている.素直な自分と向き合える.


7.定点観測しながら歩く
脳を若く保つには身の回りの小さな変化をおろそかにしないことだ.物忘れを気にしなくなったら脳の老化が加速する.脳は忘れるようにできている.これは古いことを忘れなければ新しいことを覚えられないからだ.忘れることに注意し,小さな変化をおろそかにしないために備忘録をつけるとよい(e.g.三月一日梅三分咲=梅の花の定点観測,富士山のスケッチ,道路工事).メモをすれば忘れてもいいが,案外記憶に残る.書く行為が脳に刺激を与えるからだ.何でも書けばいい,小さな変化をおろそかにしないことが肝要.


8.カメラで観察しながら歩く
デジタルカメラをメモがわりに用いる人もいる.定点観測すると面白い記録になる.名前のわからない花を撮影して家で調べるという使い方もできる.脳は道具を使って進化してきたのだから面白く歩くための便利な道具を使いこなすのは良い.


9.観光地を地図を見ながら歩く
歩かなければ旅行で訪れた街の良さはわからない.そのとき,観光協会などで大まかな地図をもらい,街にさまよい込む.頭の中で東西南北と自分のエリアをイメージし,地図上でどの辺を歩いているかを大体把握しておく.迷えばランドマークへの方向を地元の人に聞けばよい.大体の方角を教えてもらえるので,今自分がどちらを向いているか理解できる.常に頭で東西南北を念頭に置き,大まかな地図をイメージしていれば方向感覚が衰えることはない.


10.ドライブ中でも,いい景色を見つけたら歩いてみる
脳は歩くスピードで記憶が残るようにできているため,車窓からの記憶は残りにくい.そこで,景色がいい場所があれば車を止めて20分でも歩いてみると良い.観光スポットではなくても自分だけの絶景ポイントとなる可能性がある.五感を通じて脳に入る刺激が自分だけの絶景ポイントを作っているのだろう.


11.「かきくけこ」をイメージしながら歩く
脳を老けさせない五つのポイント.

  • か:感動
  • き:興味
  • く:工夫
  • け:健康
  • こ:恋

感動が脳に届く歩き方は工夫次第だ.工夫が感性を呼び覚ます.

恋は心をときめかせることだが,夫婦で一緒に歩くだけでもいい.この人と一緒でよかったというジワッとしたときめきで良い.


第4章 脳が喜ぶ四季の歩き方

1.本能としての快感はジワッとわき上がってくる
ジワッとした幸福感は脳幹→大脳辺縁系大脳新皮質へと伝わる.脳幹は命を扱う場所であり,幸福感は命そのものの喜びだ.この時アルファ波がでる.喜びは神経細胞を伝わる.視床下部(食・性),海馬(幸福感が心地良い記憶として残る),大脳新皮質へと放射状に広がる.また,かつて快感した何らかの情報がよみがえると,前頭前野を刺激し,情報が脳の深部に降りていって同じ快感を得る行動をとろうとする.こうして快感は繰り返される.


2.春は日だまりをたどって歩く
頭の中に地図を描いて,今日はどこに行こうかと考えて歩き始める.そのとおりに行動しなくても良い.ひだまりの中を歩くだけで気持ちが暖かくなる.セロトニンも太陽光で活性化される.


3.春は花の名前を思い出す
花は季節を感じるには一番いいものだ.年に一度しか学習できないため完全に覚えるのは大変だ.しかし,名前を思い出すと一書に覚えた情報も思い出す.


4.梅雨の季節も楽しく歩ける
散歩が晴れの日のものとは決まっていない.ただ,雨の日は目的を決めていくとわびしくなくて良い.ゆっくりと歩いて体を動かし,喫茶店で本を読むのも良い.


5.夏の野山は自然の時間に合わせて動く
早朝に起き,冷たい水で顔を洗って机に向かう.朝食までの数時間に仕事をする.あとは野山を歩く.夜は早く寝る.たっぷり寝ると脳内神経伝達物質のカテコールアミンが蓄積され,目覚めと共に放出されやる気が沸き起こる.夏の高原は自然のリズムを取り戻すのにもってこいだ.


6.夏は宵のある気がよい
宵の散歩はゆっくりが良い.脳を休める効果があるからだ.一日の出来事を反芻し,ぼんやり明日の計画などを立てる.脳が最も活発に働くのは午前中で,集中力・記憶力が高まっており想像力もみなぎっている.しかし午後二時からは減退する.余裕があるなら昼寝すると良い.夏は意外と運動をしていないので代謝が衰え,食欲もなくなる.運動不足解消,食欲増進,そしてよく寝るために宵の散歩は効果的だ.


7.夏の夜は星の見えるところを探そう
星の世界はロマンを掻き立てる.26光年離れた織姫をみて,26年前の自分に思いを馳せる.のんびりと星の見えるところに歩いて行って,頭の中のスケールを宇宙モードに切り替えるのも良い.


8.秋の午後は空気もおいしい
弁当を持って外出し,よく噛んで食べたい.手足の運動により25%の情報が脳に行く.しかし残りの50%はあごである.とりわけ噛むことが脳を活性化させる.心地良い運動のあとは噛むことで刺激を図る.


9.秋はサバイバル気分で長距離を歩いてみる
秋の気候は長距離を歩くのに適している.たとえば,大災害時に家まで歩いて変える予行演習などはどうだろうか.ただし無理は禁物である.少しずつ何回かに分けて歩くと良い.


10.師走の街を歩くのも好きだ
「マンウォッチング」には師走がうってつけだ.誰もが忙しく,見られていることなど意識していない.あたっていなくても,歩きながら周りの人をあれこれ考えるのが面白い.


11.バードウォッチング歩きは冬がいい
木々が葉を落としている冬は鳥を見つけやすい.鳥の興味は空にあって地面にないため,たいていほんの少し頭を上げて空をみている.


12.どんな季節の風も歩けば心地よい
食事と同じで好き嫌いなくどの季節もまんべんなく味わう態度で歩くと脳は衰えない.例えば花は年一回しか学べない.そうすると見る目が変わってくる.興味を持ち始めるといろいろなものに四季を探せる.極めようなどと気負って歩く必要はない.楽しむためのスパイスであり,季節を味わいながら歩きたい.


第5章 若い脳を保ち歩き続ける「11のヒント」

1 楽しんで歩くのが基本
継続に至らないのは義務として歩いているからである.まず楽しみを見つけ歩き始める.するといつの間にか歩くことそのものが楽しみとなる.楽しみは変わっても歩く楽しみは変わらない,となれば本物.


2 体の柔軟性が,脳と身体の若さを保つ
歩くだけでは体は柔軟にならない.ストレッチはかかせない.真向法であれば一回5分もやれば十分だ.


3 準備運動・整理運動で体を柔らかく保つ
ウォーミングアップは体を温め筋肉等を柔らかくして無理なく歩くために行う.クールダウンは使った筋肉を解きほぐしてメンテナンスを行う.


4 脳が気持ちよくなる時間を見つける
意志の力で体のリズムをコントロールするのは望ましくない.生命を司る脳が弱ってしまう.人間は午前二時頃の体温が最も低く,午後二時に最も高くなる.低体温時は脳の血流が下がって活動が抑えられる.高体温時は脳の血流が活発となる.また,睡眠時に蓄えられたアセチルコリンドーパミンが放出され,気持ちよく体を動かしたくなる.


体温を上げるために軽い運動が必要なので朝の運動は良い.したがって体温が下がり始める午後に歩いたり,朝低血圧できつい場合は朝に歩いて脳を活性化させることが良い.


5 歩くスタイルは重ね着が基本
厚手のセーターでは着ていると暑く,脱ぐと寒いといった不具合がある.薄手のもの2枚なら一枚だけで調節できる.手袋もしたほうが良い.その日の気候を考えて準備するのも脳にはいいだろう.登山用品店に行けば夏に汗を発散させるシャツを売っている.


6 歩くためのいい道具と出合う
とりあえず今あるスニーカーで始め,次にウォーキングシューズを買うのが良い.歩数計を持つのも良い.方位磁針を持っていると時々邦楽をチェックして頭の中の方位を確認できる.これも脳の刺激となる.


7 水分補給は十分に行う
一日に補給が必要な水分量は2.6リットル.1.2リットルは食事から,1.4リットルは直接摂取である.朝は脱水傾向にあるのであたたかいお茶を少しずつ飲む.このほうが冷たいものを一気に飲むより吸収が良い.歩いているときは喉が乾く前に少しずつ喉を湿らせるような感じで水分補給する.


8 よく食べ,よく歩く
過食の多くはストレスが原因なので歩けば食べ過ぎることはなくなる.また食を粗末にするのもいけない.好奇心を持ってあれこれ食べるのが肝要.理想は「身土不二」でその土地のものを食べることだが,現代では難しい.なので大切に料理してよくかんで食べるのが良い.


9 日本古来の歩き方を試してみる
スキップ,カニ歩き,後ろ歩きなどでも脳は活性化する.ナンバ歩きは腰や股関節に大きな負担をかけないので健康によいと注目を集めている.同じ側の手と足を同時に出しつつ,膝を曲げてつま先から着地する.


10 日本列島や世界を歩くつもり
目標を持って歩きたい人は地図上で日本列島や世界を歩くと面白い.時間があれば実際にその場所を訪れてみるのも良い.


11 がんばらないのが長続きの秘訣
歩くことは楽しいということは動物の本能的に刻み込まれている.楽しく感じないときは本能的に弱っているのかもしれない.気分が乗らなければ無理して歩かず,ゆっくりしたストレッチだけをすれば良い.頑張らない,無理をしないのが歩き続ける秘訣.

感想

メモに書く事で脳が活性化され忘れなくなる,という意見は「思考の整理学」とは逆の意見である.「思考の整理学」では書く事で脳が安心するので忘れることができる,だから忘却のためには書き出しなさいということであった.しかし,自分の経験上,大島氏の指摘の方が正しく思う.すなわち,書く事で脳が刺激され記憶に残るということである.まあ,いずれにせよ書き出すことは良いことであるのは確かなようだ.


調査事項

ドーパミン回路
脳内神経伝達物質